『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信╎「自分」という障壁
「シャルロットだけはぼくのもの」の小鳩くんが好き!
見た目は小学生で、一見すると儚くも見える印象の小山内さん。そんな彼女が幼い口調のまま牙を剥くシーンの不思議な魅力に、小山内さんの「狼」な面をもっと見たくなってしまいます。(本人、本意じゃないだろうけど)
恋愛関係でも依存関係でもない、友情とも言いがたい関係の二人の「別れ」のシーンには、切なさや苦さには届かないけれど、それに近い何かがありました。
アイデンティティの確立、ありのままの自分を受け入れたくない辛さ。
いっそ傲慢でもいいじゃないか、と声をかけたくなる。
「あなたの前だと本性が出てしまう」とは、「あなたの前では本当の自分でいられる」。
互いの「狼」と「狐」を認め合えれば、かけがえのない関係になれそうなんだけど……そこにはまた「自分」という障壁が。
「狼」と「狐」、強く見えて苦しみもがく二人の行き着く先は何処でしょうか。