いろどりの記憶書庫

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『大人になれない』まさきとしか╎ポップでシニカルな中にある「親殺し」の神話

 

面白すぎてなぁ~~~~~!!!

まさきさんの作品の中で1,2を争うくらい好きな作品かもしれない。

ポップでシニカルな作品かと思えば、そこには「親殺し」の神話がある。

許すか、許さないか。

それに迷う歌子さんはとても人間的で、それは人間にしかない感情だと思った。その揺れ方は、ひどく自分の内側に見覚えがあるものだった。なんてこった。

許さないと決めて、捨てると決めても、きっとまた葛藤することがあるのだ。親からただただ愛されてきた人間には解らないものが、ここにはある。それを理解できる自分を、許してあげてね。

 

歌子も太助も江口さんも私はこの作品の登場人物たちがみんな好きで、読み終わるのがとても惜しかった。

けれど続編希望!というよりは、ここで終わるのが美しいかなと思う。

彼らの生活はまだまだ続くだろうけれど、これ以上の揺れはそうそう起こらないかな、人間はそんなすぐには変わらないし、同じ揺れを繰り返すのも彼ららしいと思うから。